わたしにコンピュータを教えてくれた、西順一郎先生とテッド・ネルソン博士に感謝いたします。
わたしにコンピュータを教えてくれた、西順一郎先生とテッド・ネルソン博士に感謝いたします。
コンピュータリブ社は1998年6月1日に設立しました。わたしは、「コンピュータリブ」という社名と、力強く握った手のグーの形を社章として選びました。そのエピソードを紹介します。
社名「コンピュータリブ」は、ハイパーテキストの考案者であり「インターネットの父」と称されるテッド・ネルソン博士の本から名付けられました。社章のグーも博士の本の表紙に由来します。
わたしは26歳の時、西順一郎先生の指導のもとでマネジメントゲームを通じて経営学を学び始めました。その過程で、西先生が教えてくれたワープロ感覚のデータベース言語「マイツール」に夢中になりました。マイツールは、わたしとって初めてのコンピュータでした。
1981年1月、西先生はアメリカ西海岸で開催されたWCCF(世界最大のコンピュータ見本市)を視察したとき、書店でテッド博士の本を見つけました。そして、この本を中小企業の社長さんにわかりやすく西流に翻訳して、『ホームコンピュータ革命』を出版しました。この本は既に廃刊となっていましたが、わたしはなんとか入手し夢中で読みました。(つい最近、長男も見つけて読んでいました)
コンピュータリブ社設立の3ヶ月前、西研究所の引越しを手伝った際、散乱していた多くの本の中から、わたしは『COMPUTER LIB』の本を見つけ出しました。その時、これは偶然とは思いませんでした。そして、起業することに腹をくくった瞬間でした(長男は5才)。わたしは、『COMPUTER LIB』のタイトルと表紙のデザインに一目惚れでした。西先生は気前よく、「その本を持って帰っていいよ」と言ってくれました。
わたしが起業するとき一番最初に行ったのは、テッド博士に直接会って「コンピュータリブ」の社名使用許可を取ることでした。テッド博士を探しました。すると、意外と近くに、慶應義塾大学藤沢キャンパス(SFC)の大岩元教授の研究室にいることが分かりました。そして、1998年4月10日にSFCに行って、日本語が通じないテッド博士から直接、許可をいただきました(少なくとも、そう信じています)。
『コンピュータリブ』は、コンピュータを解放するという意味です。ホームページのリンクを考案したのはテッド博士です。今、世界中の人たちがポケットの中に入るほどの大きさのコンピュータを手のひらにのせて、ホームページを使わない日はありません。これがテッド博士の『コンピュータリブ』です。
わたしたちコンピュータリブ社のモットーは1998年からずっと「やさしくデジタル」です。わたしたちは、コンピュータは人と会うための道具と考えています。人と会うことは人生を豊かにします。このことは、西先生、テッド博士、9マスの考案者の松村寧雄先生が教えてくれました。創業の日を記念して、原点を確認し、もっと「やさしくデジタル」を研いて誰かの役に立ちたいと考えています。
ぜひ神保町に、所蔵している『COMPUTER LIB』をご覧いただき、コンピュータの歴史の匂いを嗅に来てください。
(文責:中島正雄)